加飾フィルムの歩留まり90%以上、レーザーカットのトリミング工程をなくす 自動車部品向けフィルム加飾の新工法

日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社の子会社であるNippon Paint Automotive Americas, Inc.と、株式会社 大気社のグループ会社であるTaikisha USA, Inc.が、自動車部品向けフィルム加飾の新工法を共同で発表しました。発表は2026年9月29日、米国ミシガン州で開かれた「2026 SPE TPO Global Automotive Conference」で行われました。
自動車用塗料の開発・製造を手掛ける日本ペイント・オートモーティブコーティングスと、塗装設備・ライン設計で豊富な実績を持つ大気社。両社はそれぞれの技術と知見を組み合わせ、フィルム加飾技術の開発を進めてきました。今回の新工法は、大型部品であるバンパーを1つのモデルとして、デモラインを用いた量産性検証で明らかになったクリティカルな課題を解決するものです。

従来工法の課題は「材料のムダ」と「切り口の品質」
これまでの工法では、部品サイズより一回り大きい加飾フィルムを使う必要がありました。真空圧空成形を終えた後、そのフィルムの約70%は廃棄されることになり、材料コストが大きく膨らむことが課題でした。加えて、レーザーカットで行うトリミングの品質にも課題があり、量産化にはこれらの解決が欠かせない状況でした。
新工法の最大の特長は、量産性検証で浮かび上がった主要課題である「コスト」と「トリミング品質」の改善に加え、生産性向上に向けたサイクルタイムの短縮と、プロセスにかかるエネルギーの削減にも同時に取り組んだ点にあります。

キャリアフィルムを使った新しい成形方法
必要なサイズだけを配置して歩留まりを改善
新工法では、安価なキャリアフィルムの上に、必要なサイズの加飾フィルムを配置して成形します。この方法により、加飾フィルムの歩留まりは90%以上へと大幅に向上しました。
剥がすだけで不要部分を除去
加飾フィルムにはあらかじめ切り込みが入っており、成形後にキャリアフィルムを剥がすと、不要な部分がまとめて取り除かれます。これによって、課題となっていたレーザーカットによるトリミング工程そのものをなくすことが可能になりました。さらに、キャリアフィルムはリサイクルが可能で、環境負荷の低減につながる設計となっています。日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、これらによってコスト面においても塗装システムと同等以下になると見込んでいます。
小型樹脂部品から車体全体まで視野に
フィルム加飾技術は、従来の塗装色を再現できるだけでなく、フィルムならではの多彩な意匠表現や、用途に応じた機能性の付与を可能にする加飾工法です。フィルム加飾ラインは従来の塗装工程と比べて建屋容積を70%以上削減でき、省スペース化を実現します。無人化・省人化やメンテナンス工数の削減、CO₂排出量の大幅削減にもつながるとしています。日本ペイント・オートモーティブコーティングスが長年培ってきた自動車用コーティング技術を生かし、自動車部品に求められる高い性能との両立を実現します。
高い意匠性や環境性能、省エネルギー化・省人化への貢献が期待される一方で、フィルム加飾はこれまで生産能力やコスト面の課題から適用範囲が限られていました。今回の工法の確立によってこうした課題の克服を目指し、適用範囲を広げていく方針です。まずは小型樹脂部品への適用を進め、今後は大型樹脂部品、さらには車体全体への適用を視野に、市場導入に向けた検証と開発を加速させるとしています。
発表の概要
- 会議名:2026 SPE TPO Global Automotive Conference
- 開催期間:2026年9月28日~30日
- 発表日:2026年9月29日
- 開催地:米国ミシガン州トロイ
- 共同発表:Nippon Paint Automotive Coatings America、Taikisha USA, Inc.
- 発表題目:Establishment of a Film Decoration Technique Applicable to Large PP Parts








