残コンのスラッジと間伐材から生まれた内装材「COKYUボード」、2026年度グッドデザイン賞を受賞

愛知県東海市で生コンクリートの製造・販売を手がけるITOグループの株式会社伊藤商店と、岐阜県各務原市で国内の間伐材を活用した国産材OSBの建材製作・販売を手掛ける株式会社エスウッドは、共同で内装材「COKYU(コキュウ)ボード」を開発しました。このボードが、2026年度グッドデザイン賞を受賞しました。コンクリート製造で生じる廃棄物と森林整備で生まれる木材という、異なる業界の未利用資源を組み合わせた建材です。

生コン業界と木材業界、それぞれが抱える課題
生コンクリート業界では、建設現場で使い切れずに余った生コンクリート、いわゆる「残コン」の処理が課題です。残コンを処理するとスラッジケーキが発生しますが、これは産業廃棄物として処分されることが多く、その処分費用は事業者の負担になっています。
木材業界では、間伐材をどう有効に使うかが課題です。採算性などの理由から十分に活用されない木材もあり、森林整備を進めるうえでの課題の一つになっています。伊藤商店とエスウッドは、こうした別々の業界の課題を解決するために連携しました。両社は、それぞれの資源の特性を生かして未利用資源を新たな製品に生まれ変わらせることで、サーキュラーエコノミーの推進とカーボンニュートラルへの貢献を目指し、COKYUボードを開発しました。

スラッジケーキと間伐材を主原料にした新しい内装材
COKYUボードの主原料は、残コン処理で発生する「スラッジケーキ」と、森林整備で生まれる「間伐材」です。これまで十分に活用されてこなかったスラッジケーキと間伐材チップを組み合わせ、新たな建築材料として再生しています。廃棄物の削減と地域資源の循環に貢献するだけでなく、室内環境の快適性にも着目しており、住宅や公共施設などでの活用を目指しています。デザイン面では、無機質なスラッジと有機的な木質チップが組み合わさることで独特の模様と質感が生まれ、異素材が織りなす自然な風合いが空間に個性と温かみをもたらします。
CO₂を固定化した多孔質構造が消臭・調湿を担う
スラッジにCO₂を固定化することで、ボードには多孔質構造が形成されています。スラッジケーキの炭酸化によってCO₂を吸収・固定化するとともに、この構造によって、臭いの原因となる成分を吸着する「消臭機能」と、湿気を吸収・放出する「調湿機能」を備えています。消臭性能試験では、次のような減衰が科学的データとして確認されています。
- アンモニア:2時間で99%以上
- トリメチルアミン:1時間で最大97%
- イソ吉草酸:1時間で約88%、5時間で99%以上
吸放湿性能試験では、スラッジ70%・木チップ30%の試験体が、木チップ100%の試験体と比べて、24時間後に約2倍の吸湿量を示しました。吸収した湿気を放出することも確認されており、室内の湿度変化に対応する内装材としての活用が期待されています。
製品仕様
- 製品名:COKYU(コキュウ)ボード
- サイズ:幅900mm × 長さ1,800mm
- 厚さ:6mm
- 重量:7.3kg/枚
- 主原料:コンクリート残渣・木質材料(木質材料は地域材指定にも相談可)
- 用途:内装材(壁面、天井)、家具・什器・建具等の仕上げ材

審査で評価された点と受賞展での展示
グッドデザイン賞は公益財団法人日本デザイン振興会が主催しています。審査委員は、廃棄物を再利用する取り組みには様々な事例があるなかで、スラッジと間伐材という2種類の廃材を組み合わせた提案である点を新しいとしました。また、廃棄物の削減とCO2の固定という役割を前提としながら、調湿性や消臭性を備えていることに、積極的に使用すべき優位性があるとコメントしています。デザイン面では、無機材と有機材を適度な比率で組み合わせることで独特の風合いが生まれている点が評価され、異なる業界の連携で生み出されている点も意義深いと述べられています。
受賞製品は、10月31日(土)から始まる受賞展で展示されます。
- 名称:2026年度グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2026」
- 会場:東京ミッドタウン[六本木](〒107-0052 東京都港区赤坂9丁目)
- 会期:10月31日(土)~11月4日(水)
- 10月31日(土):11:00~22:00
- 11月1日(日)~11月3日(火):11:00~20:00
- 11月4日(水):11:00~18:00
出典:株式会社伊藤商店








